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ツルノ ヲンガエシ
2015.12.22
年の瀬となり、冷え込みも厳しくなって参りました。
何かと忙しい年末ではありますが、体調を崩さない様に充分なご自愛をと存じます。
前回お伝えさせて頂きました「ともいきの縁側」に参加した際に、お土産を頂戴して参りました。
直ぐに分かった方は、農家出身者か物知りな方。
日頃、目にする機会は少ないとは思いますが「サツマイモのツル」です。
戦後の食糧難の際の代替食糧としかイメージが無い方もおられると思いますが、たんぱく質はレタスの3倍、食物繊維はキャベツの2倍と言う、とっても栄養価が高いヘルシー食材でもあります。
皆様にお渡しすると
「こりゃまた懐かしい物を持って来たね」
「配給を思い出すがね」
と、良く知っておられました。
「ちょっと貸してごらん」
そう言われると手際よく皮を剥き始められ、僅か数分で全てのツルが皮剥き状態。
「懐かしいよね。これは子供の仕事だったから、毎日やったもん」
「今の子はこんなの食べないかもしれないけど、私達にはご馳走だったしね」
「私の姉が皮剥きのやり方を教えてくれたのよ」
と、皮剥きだけでも様々な想いが交差します。
「ちょっと、早く鍋と火を持って来て」
言われるがままに用意すると、即座に調理。
「あんた達(職員)、これの食べ方知らんでしょ。私ん達が教えたげるから良く見ときゃあ」
と、人生の先輩達の調理実習と講義が始まりました。
「戦争が終わって食べるものが何もない頃、どこの家もツルを食べてたんよ」
『そうよ、お金があっても物自体が無かったからね』
「日本人はいつの間にか贅沢になっちゃったから見向きもせんけど、昔はどこの八百屋でも売ってたんよ」
『そうそう、物を大事にせんといかん』
皆様の慣れた手つきで完成した
「サツマイモのツル、きんぴら風炒め(勝手に命名しています)」
「ほら、あんた達(職員)、食べてみやあ」
半場強引に勧められ、試食させて頂きました。
きんぴらの味付けに、ほんわかとサツマイモの香りと味がします。
主観ではありますが、きんぴらゴボウより遥かに美味しいです。
「美味しいやろ、ツルやと思って馬鹿にしたらかんで」
『そうやよ、結構なご馳走やで』
「あの頃だってツル食べなかんで惨めだななんて思った事もない」
『私はサツマイモより、こっちの方が好きだったね』
「そうそう私も」
『何や言っても、どんな物も工夫したら何にでもなるんよ』
「ツルもご馳走になるんよ」
『そうだわね、あはははは』
物を捨てる行為に対して「勿体無い」と常に口にされる皆様の言葉の根底に
「工夫」の2文字が隠れていた事実があります。
そして、何気ない会話の中に生活の知恵であったり、言葉の要所要所に暖かい想いが籠っています。
最後に…
今回の何気ない会話の中の、一番心に響いたお言葉をご紹介します。
よう聞いときな
贅沢な美味しいモンも、一人で食べたらちっとも美味しないわ
皆と一緒に、貧乏臭くて不味いモンを食べた方が美味しいでな
皆がいつもおってくれるで良かったわ