3月に入り、暖かい日と寒い日を行ったり来たり、
繰り返してはいますが、日差しは強くなってきて
季節は、確実に春へと向かっています。
五条川の桜の木も、春を待ちわびていることでしょう。
ところで、時はさかのぼりますが、
今年のお正月の書初めの日に、参加された入居者様から
「来年の書き初めのために、お習字の練習がしたいから
これからも習字を書く機会を作ってね」というご希望がありました。
そこで、3月13日(木)ダイニングにて、書道の会を開きました。
書道経験者の方はもちろん、日ごろ筆を持つことなんてないからと
躊躇されていた方も「気晴らしになるかしら」と参加されました。
奥さまは、「私は字が下手だから、習字は書けないけど」とおっしゃって
ご主人のために、墨をすられます。
その間に、ご主人は「今日は、どれを書こうかなあ」とお手本を選ばれます。
「春にちなんだ、字がたくさんあるな。」
「この字は、筆使いが・・・」
「ひらがなは、簡単に見えるど、書いてみると案外難しいよ」
日ごろの膝の痛みも忘れて、立って書き始められました。
「腰かけなくて、大丈夫ですか?」職員の声かけにも
「腰かけてなんて、書きにくいわ」
奥さまが、そっと寄り添い、ご主人が書くところを見守ります。
「ちょっと、ここが曲がっちゃったね」
「そうだな」
「バランスが良くないわ」
「この字は、いかんなあ。難しい」
「何回も書けばいいじゃない」
「書くよ~」
お若いころは、こうしてお習字をされていたのでしょうか。
「筆の持ち方も忘れてしまったわ。小学校で書いた以来だから」
「筆使いの練習から、やらなくちゃ」
何度も何度も筆の運びの練習をされました。
「そろそろ、字を書いてみようかな」
丁寧に丁寧に「桜」という字を書き始められました。
「かっちり書くのもいいけれど、ここの部分を流れるように筆を運ぶと
字が生きてくるよ。それと、線も太いところと細いところを
はっきりさせるといいよ。
「なるほど。字が生きてくるって、いい表現ですね」
最後に<お疲れさまでした>とお茶を飲んで、一息つきました。
「どうして、墨汁があるのに、墨をするんですか?」
受付スタッフの問いかけに
「昔は墨汁なんてなかったの!!」
「それに、お習字を書く前に、墨をすって、心を落ち着かせたんだよ」
「そうなんですか?知らなかったです」
「書道っていうくらいだから、精神修行の部分もあるんじゃない」
「え?精神修行?」
「書道のどうは、道っていう漢字でしょ」
「言われてみれば、そうですね」
「若いなあ。ハハハ」
「だから、上手い下手ではなくて、続けることが大事なんだよ。」
「また、開いてね」
継続は力なり
来年のお正月の書初めを、目指ていきしょう。